シンプル

撮影・リソグラフ印刷:野尻 暉(enden press)

石川から福岡に来ていた二人が、リソグラフスタジオを利用しに津屋崎に来てくれたので、周辺を案内した。

そのうちの一人は、20代後半で東京での学歴や会社員生活を脱いだばかり。出会う人たちの「脱いだもの・脱ぎたいもの」に関心を寄せていた。

数日後、その二人からの紹介で、同様に石川から福岡に来ていたお客さんがスタジオに来てくれた。夕方の利用だったので、印刷の合間に夕陽を見た。

ぼくは何度も見ているのに、相変わらず「すげー」という声が漏れ出る。

毎日違う、見る場所で変わる、秒ごとに色彩がうつっていく。

夕陽を眺めるとき、感嘆の声のあと、沈黙が訪れる。

そのあとにこぼれてくる会話は、着飾っていない。

面と向かって話すよりも、海や夕陽を眺めたり、いっしょに作品をつくったり、同じ方向を向いているときの会話は、シンプルでいい。

いっしょにいいものつくって、海や夕陽に感動して、いい酒を交わす。

そういう日常をつくっていきたい。

この記事を書いた人

野尻 暉のアバター 野尻 暉 enden press / enden books店主

宮崎県出身、福岡県津屋崎在住。

旧玉乃井旅館の一室で、リソグラフスタジオ「enden press」と書店「enden books」を営むほか、編集、出版、リソグラフを用いた作品制作などをおこなう。

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