シンプル

石川から福岡に来ていた二人が、リソグラフスタジオを利用しに津屋崎に来てくれたので、周辺を案内した。
そのうちの一人は、20代後半で東京での学歴や会社員生活を脱いだばかり。出会う人たちの「脱いだもの・脱ぎたいもの」に関心を寄せていた。
数日後、その二人からの紹介で、同様に石川から福岡に来ていたお客さんがスタジオに来てくれた。夕方の利用だったので、印刷の合間に夕陽を見た。
ぼくは何度も見ているのに、相変わらず「すげー」という声が漏れ出る。
毎日違う、見る場所で変わる、秒ごとに色彩がうつっていく。
夕陽を眺めるとき、感嘆の声のあと、沈黙が訪れる。
そのあとにこぼれてくる会話は、着飾っていない。
面と向かって話すよりも、海や夕陽を眺めたり、いっしょに作品をつくったり、同じ方向を向いているときの会話は、シンプルでいい。
いっしょにいいものつくって、海や夕陽に感動して、いい酒を交わす。
そういう日常をつくっていきたい。


